クラシッククロームの特徴を徹底解説【撮って出しの作例写真あり】

  • クラシッククロームってどんな特徴があるの?
  • どんなシーンにふさわしいフィルムシミュレーション?
  • そもそもフィルムシミュレーションとは?

こんな疑問にお答えいたします。

富士フイルムのフィルムシミュレーションであるクラシッククロームについて詳しく解説いたします。

この記事を読むことで、クラシッククロームの色の考え方や特徴、実際の色味やおすすめシーンまでを詳しく知ることのできる内容となっております。

記事の後半にはクラシッククロームで撮影した、撮って出しの作例写真を多数ご用意しておりますので、ぜひ最後までご覧下さい。

クラシッククロームの色味はこんな人におすすめ!

  • ストリートスナップを撮影する人
  • 都心での撮影が多い人
  • 個性的な風景写真を撮りたい人
このブログを書いている人

そーいち

目次

はじめに

本記事の内容は富士フイルムの色味について徹底解説してる本「FUJIFILM 画質完全読本」と公式の開発者インタビューなどを徹底的にリサーチした上で記事にまとめています。

個人的な意見を述べている項目を除き、公式の見解に沿った情報となっております。

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フィルムシミュレーションについて

X-H2S + XF10-24mmF4 R OIS WR


フイルムシミュレーションがすごいのは分かるけど、どういうものかって調べても中々分からないですよね。

私も昔はそうでした。結局どう使い分ければいいか分かりづらい、、、

そんな経験があるので、コチラの項目ではフィルムシミュレーションのことを分かりやすくご紹介。

撮って出しで最高の色を

富士フイルムのカメラは撮って出しで最高の色が出せるように設計されています。

富士フイルムにはフィルム時代から続いてる、約80年もの色を研究してきた歴史があります。

長年の歳月をかけて世界に認められた色をのデータがあるので、世界的に見てもこんなメーカーはほとんどありません。

もちろん他のメーカーは撮って出しが良くないというわけではありません。

ただ、富士フイルム独自の世界に認められた色があり、その再現に全力を注いでいるので誰が見ても心地よい色を撮って出しで再現ができるのです。

富士フイルムが考える理想の色

X-H2 + XF33mmF1.4 R LM WR

富士フイルムが考える理想の色とは多くの人が見ていいなと思える普遍的な色です。

いい色とはいつの時代に見ても変わらずいい色です。1970年代の古い写真でも、いいなと思えるのは普遍的な色だから。

富士フイルムは約80年続く色の歴史の蓄積があります。人がいいなと思える画質のデータがあるので、いつの時代でもいいと思える普遍的な色を作れるのです。

もちろん、今流行りの高彩度、高コントラストの写真を否定するわけではありません。しかし、流行は流れ行くもの。

富士フイルムの理想の色は、流行りの色再現ではありません。10年、20年後に見返してもいいなと思える色の再現を目指しているのが、他のメーカーとの大きな違いです。

フィルムシミュレーションの使い分け

富士フイルムのフィルムシミュレーションは全20種類。これらを撮影意図によって色味を使い分けることができる機能です。

全てに万能な色再現はありません。

例えば、子供との幸せならひと時の写真は柔らかく、優しい雰囲気が適しています。

対して、戦場カメラマンのような重いテーマを扱う場合は写真の雰囲気も重々しく、危機感を感じる雰囲気が適しています。

撮りたい対象をどう表現したいか。その表現手段として、富士フイルムが培ってきた世界に認められた色再現を20種類使い分けられるのがフィルムシミュレーションです。

クラシッククロームとは?

X-H2 + XF10-24mmF4 R OIS WR

フィルムシュミレーションの中でも、ストリートスナップや都心での写真、個性的な風景写真を撮る人におすすめなクラシッククローム。こちらではそんなクラシッククロームのことについて解説いたします。

フィルムシミュレーションの図

各フィルムシミュレーションの特長は?

富士フイルムの公式サイトにあるフィルムシミュレーションの相関図です。

  • Tonality(トーナリティ)=色調
    • 色調とは、明暗、濃淡ののこと。コントラスト。
  • Saturation(サチュレーション)=彩度
    • 彩度とは色の淡さ、濃さのこと。

公式の図は英語なのでちょいとややこしいですが、縦軸がコントラスト、横軸が彩度のことです。

上に行くと硬い印象になり、下に行くと柔らかい雰囲気になります。また、彩度が右に行くと色が濃くなり鮮やかになり、左にいくと色が薄くなります。

フィルムシミュレーションの真ん中はベーシックのプロビアです。対してクラシッククロームは彩度がかなり低く、コントラストが若干高めな絵作りになります。

下にプロビアとクラシッククロームの比較を置いておきます。

右 : プロビア(スタンダード) / 左 : クラシッククローム

色の変化を見ていただくと分かりやすいのですが、クラシッククロームは色が薄い印象です。また、影の部分を見比べてみると、クラシッククロームは硬い雰囲気になり、コントラストが高くなります。

そのほかには、クラシッククロームの方が緑の色味が濁った色になる、空の色がシアンに寄っているなど同じ富士フイルムでもかなり色に差が出ます。

フィルムシミュレーションを変えるだけで色味の雰囲気に大きな変化が出ます。

クラシッククロームの哲学

クラシッククロームは、重厚感のある雰囲気に仕上がるように設計されているフィルムシミュレーションです。

世界各国の報道写真を撮るカメラマンから社会現象やドキュメンタリーを撮るのにふさわしい色が欲しいと要望があり、クラシッククロームが作られたという背景があります。

社会現象?ドキュメンタリー?なんのこっちゃかもですが、簡単に申し上げるとシリアスな場面に使えるフィルムシミュレーションです。

例えば、報道カメラマンが社会問題である海のゴミ問題をテーマに写真を撮るとします。ゴミを捨てる人、ゴミのせいで苦しむ海洋生物を写真におさめようと思った時、このテーマの写真は重々しい雰囲気に仕上げる方が共感を得られそうです。

そんなシーンに相応しいのがクラシッククローム。彩度が低く、コントラストがやや高いので写真から緊迫感がより伝わってくる色作りになっています。

クラシッククロームは報道カメラマンがシリアスなシーンを撮るために生まれたフィルムシミュレーション。

なので、少々重々しく感じられるかもしれませんが、重厚感のある雰囲気に仕上がるように設計されているのがクラシッククロームの特徴なのです。

下の項目では、クラシッククロームの詳しい特徴を写真とともに解説していきます。

クラシッククロームの写りの特徴

X-H2 + XF33mmF1.4 R LM WR

こちらの項目では、クラシッククロームの写りに関する特徴を写真とともにご紹介いたします。

クラシッククロームの色味の特徴

X-H2S + XF16mmF1.4 R WR

クラシッククロームは、前述した通りドキュメンタリー系の写真に適した色味が出るので、スナップ写真や都心での写真撮影時に使うのがオススメです。

クラシッククロームの色味の特徴は次の通り。

  • シャドウ部が引き締まる
  • 濁りのある渋い色
  • 色味が全体的にシアン傾向(やや緑みの明るい青)

簡単に解説すると、シャドウ部が引き締まると写真に重厚感が出ます。加えて濁りのある渋い色は悲しく寂しい雰囲気になります。さらに、全体がシアン色になると冷たい印象になります。

この特徴をまとめると、

クラシッククローム=重厚感+悲しい雰囲気+冷たい印象

となります。

言語化すると、ドキュメンタリータッチの雰囲気がよりリアルに伝わるのかと。

スナップ写真や都心はクラシッククロームが持つ表現の特徴にぴったりの要素を含んでいるので、オススメの撮影シーンです。

色が少ないシーンにぴったり

X-H2 + XF10-24mmF4 R OIS WR

クラシッククロームは、色が少ないシーンにピッタリのフィルムシミュレーションです。

元々彩度が低く設定されているので、色は抑えめ。なので、色が少ないシーンでも絵として成立するように調節がなされています。

この写真作例はほとんど色がありません。けれども、シャドウ部の引き締まりが良く、若干冷たい雰囲気になるので重厚感のある絵作りになります。

写真のように色が少ないシーンでクラシッククロームを使うもよし、あえて色の少ないコンクリートの建物や建物の写真を撮る際に特にオススメです。

秋冬の寒い時期にオススメ

X-H2 + XF33mmF1.4 R LM WR

秋冬の寒い雰囲気を撮影するのにもクラシッククロームはオススメです。

全体的に冷たい色味になるので冬の寒々しさを強調してくれる写真になります。

冬に向かうにつれて色がなくなってくるので、そんな寂しい雰囲気に写真を仕上げたい時にも活躍してくれます。

おすすめのカスタム設定

X-H2 + XF33mmF1.4 R LM WR

こちらでは、シーンによって使い分けたいクラシッククロームのオススメ設定をご紹介。

鮮やか系のクラシッククローム

渋い色味が特徴のクラシッククロームですが、SNSに投稿するには少々インパクトが足りないのも事実。そんな方にオススメなのが、発色を際立たせる設定です。

具体的には以下の通り。

  • カラー : +4
  • シャドウ : +2

上記のようにカスタム設定をすることで、発色が際立ち、コントラストが高くなるのでインスタやX(ツイッター)などで目を惹く写真に仕上がります。

作例はこんな感じ。

右 : クラシッククローム / 左 : クラシッククローム(カラー : +4 シャドウ : +2)

発色がキリッとした雰囲気になり、鮮やかな雰囲気に仕上がります。

デフォルトのクラシッククロームでは物足りない、もう少し鮮やかさが欲しいなとお考えの方はぜひ試してみてください。

雰囲気優先ホワイトバランス

クラシッククロームの絵作りをよりフィルムっぽくしたいのであれば、ホワイトバランスは雰囲気優先に設定しましょう。

雰囲気優先ホワイトバランスとは、より温かみのある雰囲気に調節してくれるオートホワイトバランスです。

そうすることで、温かみのあるフィルム調の写真に仕上がります。

コレ、騙されたと思って一度試して見てください。楽にフィルム感を出すことができますよ。

クラシッククロームを使用した作例

こちらではクラシッククロームを使用した撮って出しの作例写真のご紹介をいたします。(水平垂直のみ調節しております。あらかじめご了承下さい)

X-H2S + XF10-24mmF4 R OIS WR
X-H2S + XF10-24mmF4 R OIS WR
X-H2S + XF10-24mmF4 R OIS WR
X-H2S + XF10-24mmF4 R OIS WR

深くて渋い緑色と、シアンに寄せたブルーが特徴的です。

12月末ごろに撮影したのですが、クラシッククローム特有の冷たさを感じる絵作りになっています。

X-H2S + XF16mmF1.4 R WR
X-H2S + XF16mmF1.4 R WR
X-H2 + XF10-24mmF4 R OIS WR
X-H2 + XF10-24mmF4 R OIS WR
X-H2 + XF10-24mmF4 R OIS WR

コンクリート打ちっぱなしの、色が少ないシーンが得意なクラシッククローム。

シャドウ部の引き締まりがいいので、渋い雰囲気やコンクリートのざらつき感がリアルに伝わってきます。

X-H2 + XF33mmF1.4 R LM WR
X-H2 + XF33mmF1.4 R LM WR
X-H2 + XF33mmF1.4 R LM WR
X-H2 + XF33mmF1.4 R LM WR

彩度が低く、コントラストが高めなので直線的な建物や、角を感じる人工的な建物と相性がいいですね。

まとめ

X-H2S + XF10-24mmF4 R OIS WR

フィルムシミュレーションの中でも、ストリートスナップや独特な風景写真、都心での撮影をする人にオススメなクラシッククローム。

絵全体に引き締まった重厚感があり、色は渋め。加えて寒色寄りの絵作りなので、冷たい雰囲気や無骨なシーンを際立たせて撮影できるフィルムシミュレーションです。

クラシッククロームは世界各国のプロの報道写真家からの要望で作られたフィルムシミュレーション。なので、シリアスな場面やドキュメンタリーチックな絵作りになるよう設計されています。

そのため、冷たさを感じる冬や硬い印象の都会的な写真撮影、個性のある風景写真のシーンでより力を発揮してくれます。

彩度が低くてパキッとした色味にはならないので、初めは戸惑うかもしれません。しかし、前述したようなふさわしいシーンでご利用いただければクラシッククロームの良さがよく分かるかと。

富士フイルムのカメラがより一層楽しくなるクラシッククロームのご紹介でした〜

富士フイルムユーザー必見の本

この記事を書くにあたり、もっとも参考にしているのが「FUJIFILM 画質完全読本」です。

富士フイルムの画質に関する哲学や、各フィルムシミュレーションのことがよく分かる内容になっているので、富士フイルムファンには是非とも読んでいただきたい一冊です。

どういうわけか、ネットで富士フイルムの画質について記載された詳しい記事が見つかりません。筆者も公式ページを含めていろんなサイトをリサーチしましたが、もっとも濃い情報が載っていたのはこの本。

富士フイルムファンの人や富士フイルムのカメラが気になるって人はぜひ手に取ってみてください。

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本の方にも富士フイルムの公式チャンネル「FUJIFILM X channel」も参考にしております。

ネット記事や本には載っていない開発者の生の声が聞けるチャンネルなのでぜひ時間のある時に見てみてください。(かなりマニアックな話が多いですが笑)

公式YouTubeチャンネルはコチラ

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