- アスティアってどんな特徴があるの?
- どんなシーンにふさわしい色味?
- そもそもフィルムシミュレーションとは?
こんな疑問をお持ちのあなたへ。
富士フイルムのフィルムシミュレーションであるアスティアについて詳しく解説いたします。
この記事を読むことで、アスティアの色の考え方や特徴、実際の色味やおすすめシーンまでを詳しく知ることのできる内容となっております。
記事の後半にはアスティアで撮影した撮って出しの作例写真を多数ご用意しておりますので、ぜひ最後までご覧下さい。
FUJIFILM、アスティアの発色が良すぎる件について。 pic.twitter.com/8MxUIezMt8
— そーいち (@tabikura_dialog) April 20, 2024
そーいち
- FUJIFILMのカメラを愛用&大好き
- 関西の観光地での写真を撮ることが趣味
- カメラの気になる疑問を解決するブログをやってます
はじめに
本記事の内容は、富士フイルムの色味について徹底解説してる本「FUJIFILM 画質完全読本」と公式の開発者インタビューなどを徹底的にリサーチした上で記事にまとめています。
個人的な意見を述べている項目を除き、公式の見解に沿った情報となっております。
フィルムシミュレーションについて
フイルムシミュレーションがすごいのは分かるけど、どういうものかって調べても中々分からないですよね。
私も昔はそうでした。結局どう使い分ければいいか分かりづらい、、、
そんな経験があるので、富士フイルムの色味の特徴とフィルムシミュレーションのことを分かりやすく紹介した記事を作りました。
こちらも合わせてご覧ください。
アスティアとは?
アスティアについて詳しくご紹介。
フィルムシミュレーションの図
各フィルムシミュレーションの特長は?
富士フイルムの公式サイトにあるフィルムシミュレーションの相関図です。
- Tonality(トーナリティ)=色調
- 色調とは、明暗、濃淡のこと。コントラスト。
- Saturation(サチュレーション)=彩度
- 彩度とは色の淡さ、濃さのこと。
公式の図は英語なのでちょいとややこしいこもですが、縦軸がコントラスト、横軸が彩度のことです。
続いてアスティアの特徴は以下の通り。
- スタンダードよりややコントラストが低い
- 柔らかくて優しい雰囲気の絵作り
- スタンダードと同じくらいの彩度
- 一般的な彩度の濃さです。しかし、色味の設計はスタンダードと異なります。
図を見ると、アスティアはスタンダードに非常に近く見えますが、ややコントラストを比較することで柔らかい印象を出しています。
ベーシックな雰囲気で撮影できるのですが少し柔らかい雰囲気になるので、子供を可愛く撮りたい時や、春の柔らかい雰囲気を撮影するのにオススメなフィルムシミュレーションです。
スタンダードとの比較
こちらではスタンダードとの色味の比較をご覧下さい。
X-H2 + XF56mm F1.2 R WR
まずはカラフルなチューリップと緑色の作例です。
赤と黄色系の色はそんなに大きな差はありませんが、アスティアの方がやや輝度が高いので色がイキイキして見えます。
緑に関しては、アスティアの方が黄緑っぽい色味によっているので、これまた元気な色味の発色になっています。
コントラストの影響もあり、プロビアの方がキリッと見えて、アスティアの方が柔らかい印象です。
X-H2S + Voigtländer NOKTON 35mm F1.2 Aspherical
お次は主に空の青色にご注目ください。
青色はかなり特徴が出まして、アスティアの方が濃い青色になっています。
アスティアが人も風景も撮れると言われる理由はこの青色にあります。
スタンダードと比べるとややマゼンタっぽい発色になっていて、スタンダードよりも抜けのいい雰囲気です。
一応ベルビアがスタンダードの位置付けではありますが、人によってはアスティアをスタンダードにするほど万能な絵作りが特徴です。
アスティアの写りの特徴
こちらではアスティアの写りに関する特徴を詳しく解説していきます。
柔らかくて優しい写真表現
アスティアは柔らかくて優しい写真表現が得意なフィルムシミュレーションです。
イメージを言語化するとこんな感じ。
- 元気
- ハッピー
- 楽しそう
- 生き生きとした
そんなシーンをより強調して撮影したい時にオススメなフィルムシミュレーションです。
肌色の美しさと風景の鮮やかさを両立した色
アスティアは、人も風景も綺麗に撮れるフィルムシミュレーションです。
スタンダードと彩度は同じとお伝えしておりますが、細かくいうと変わります。
ビビットのように色全体が濃くなると、肌色がしつこくなりがちなので人は撮りずらいです。
そこで肌に関する色を優しい発色にして、その背景にくる空の青や山の緑はキリッとイキイキした発色に調節されています。
人肌のイメージ作例はこちら。
X-H2 + XF16mm F1.4 R WR
※被写体様の希望により、お目々のみ出演NGとなっております。
スタンダードであるプロビアと比べるとアスティアの方が肌色が落ち着いた発色になっています。
対してプロビアの方がやや赤みがかった肌色の印象です。
背景に関してはアスティアの方がキリッとしていてイキイキとした発色です。
フィルム時代は肌色と風景の両立は難しかった歴史があるのですが、デジタルのおかげで克服できたんだとか。
スタンダードと比べると、肌色は優しくて緑と青がキリッとして見えるので、どんなシーンでも使いやすいのが特徴です。
可愛い被写体にぴったりの色味
アスティアは可愛い被写体にぴったりの色味です。
その例はこちら。
- 子ども
- 小動物
- 花
- デザート
被写体そのものが可愛かったり、色味が可愛いものに関しては特に柔らかくて綺麗な写真に仕上がります。
お子さんやペットの写真撮影に特におすすめです。
春夏にオススメなフィルムシミュレーション
アスティアは春夏にオススメの色表現です。
なぜなら、発色がイキイキして柔らかい雰囲気で撮れることから、春のような生命がイキイキと動き出す喜びを表現するのにピッタリの色味だからです。
例えば、桜やチューリップって優しい雰囲気の色味や形をしていたり、春先には新緑のイキイキとした緑色が映える時期。
そして、アスティアの色味は緑がイキイキとした黄緑傾向に、青はマゼンタが入って中が良くなるので、春のカラーパレット と相性がいいのです。
分かりやすいようにアスティアとは全く違くクラシッククロームと比較してみました。
X-H2 + XF16mm F1.4 R WR
比較写真を見てもわかる通り、アスティアは色がイキイキとして表現できます。
クラシッククロームは秋冬にピッタリのフィルムシミュレーションなので、色味が冷たい雰囲気になります。
こんな感じで、同じ写真でもイメージは全く異なります。
春夏のシーンとアスティアは相性抜群なので、ぜひ春夏に試してみて下さい。
アスティアの撮って出し作例
こちらではアスティアを使用した撮って出しの作例写真のご紹介をいたします。(水平垂直のみ調節しております。あらかじめご了承下さい)
花の写真が3枚続きました。
作例を見ても分かる通り、花の写真との相性が最高です。
アスティアは柔らかいイメージになるので、標準レンズ以上の開放撮影でボケを作るとよりソフトで優しいイメージの写真に仕上がります。
筆者は桜の時期にアスティアを試そうと決めていました。
やはりアスティアのイメージが柔らかさなので、桜の写真との相性は抜群にいいです。
アスティアの隠れた特徴は、露出オーバー気味でもちゃんとハイライトに色が残りやすいこと。
特に桜は白飛びしやすいので、アスティアが重宝しますね。
アスティアは可愛いものをより可愛く撮影できるフィルムシミュレーションです。
なのでポップな色味の遊具を撮ると、発色が可愛らしい仕上がりになります。
春の雰囲気にアスティアは最高です。
コントラストがやや低い傾向にあるので、日の照ったコントラストの強いシーンを程よくソフトにしてくれます。
続いての2枚は曇りの日に撮影した写真です。
コントラストが低めなので、直射日光がない曇りの日はややあっさりとした印象になります。
テーブルフォトも良好です。
お次はドライフラワーと観葉植物の作例です。
直射日光ではなく、一度ディフューズされた柔らかい光はアスティアにとって最高のシチュエーションです。
曇り気味だと発色も穏やかになります。
晴れと曇りで写真の雰囲気がガラッと変わりますね。
アスティアを試しているタイミングでフォクトレンダーのノクトン35mm F1.2 Xマウントを迎え入れました。
このマニュアルレンズはあえて写真に収差を残すことで、ボヤッとしたエモい写りを楽しみましょう!というようなレンズです。
開放では滲んだ仕上がりになるのですが、このレンズとアスティアは相性が最高です。
オールドレンズライクなフワッとした写りに、イキイキとしたアスティアの発色が重なることで、よりエモーショナルな写真が撮れます。
もみじの新緑が芽吹いた南禅寺での写真です。
緑がやや黄緑寄りになるので、活気のある雰囲気になります。
F1.2の開放で撮影してみました。
ピント部分が柔らかいこともあり、アスティアとの相乗効果は半端ないです。
こちらは背景の緑の発色をご覧ください。
被写体の彩度は至って普通なのですが、背景は明るくてキリッとした雰囲気になります。
最後にアンバー(茶系)の色味についてです。
発色は全く文句なしの一級品ですね。
アスティアまとめ
結論、アスティアは元気でイキイキとした写真を撮りたい人におすすめのフィルムシミュレーションです。
その理由は、コントラストが低めで柔らかい雰囲気を保ちつつも、青と緑がシャキッとした発色傾向にあるので、フレッシュなイメージの写真が撮れることにあります。
他のフィルムシミュレーションと比較すると、特に植物やお花がイキイキとした雰囲気で撮れることがわかりました。
また、人の肌に関しては彩度が濃くなりすぎずに柔らかい発色になるので、子どもなどの可愛い被写体からキリッとした風景写真まで万能に撮影ができます。
ただし、秋冬の冷たさを感じるシーンだと少々不向きなのでそちらは注意が必要です。
可愛い被写体や春夏のシャキッとした風景写真におすすめのフィルムシミュレーション、アスティアのご紹介でした〜
FUJIFILMユーザー必見の本
この記事を書くにあたり、もっとも参考にしているのが「FUJIFILM 画質完全読本」です。
富士フイルムの画質に関する哲学や、各フィルムシミュレーションのことがよく分かる内容になっているので、富士フイルムファンには是非とも読んでいただきたい一冊です。
どういうわけか、ネットで富士フイルムの画質について記載された詳しい記事が見つかりません。筆者も公式ページを含めていろんなサイトをリサーチしましたが、もっとも濃い情報が載っていたのはこの本。
富士フイルムファンの人や富士フイルムのカメラが気になるって人はぜひ手に取ってみてください。
本の方にも富士フイルムの公式チャンネル「FUJIFILM X channel」も参考にしております。
ネット記事や本には載っていない開発者の生の声が聞けるチャンネルなのでぜひ時間のある時に見てみてください。(かなりマニアックな話が多いですが笑)
FUJIFILMに関するほかの記事
当ブログでは、今回のようにFUJIFILMのカメラに関する記事がたくさんございます。
FUJIFILMのことが好きな人や、どんなカメラか気になっている人はぜひほかの記事も見てみてください。
コメント