- NOKTON 35mm F1.2 X-mountってどんなレンズ?
- 描写力ってどうなの?
- 特徴や使用感は?
こんな疑問をお持ちのあなたへ。
この記事では、コシナより発売されているVoigtlander(フォクトレンダー)のNOKTON 35mm F1.2 Xマウントについての詳細なレビューについてまとめました。
「NOKTON 35mm F1.2は期待外れの描写力」なんて評価もありますが、実際のところはどうなのか、描写力や使用感、特徴についての気になる疑問にお答えしております。
また、記事の後半にはNOKTON 35mm F1.2を使用した作例写真もご用意しておりますので、そちらもあわせてご覧下さい。
そーいち
- FUJIFILMのカメラを愛用&大好き
- 関西の観光地での写真を撮ることが趣味
- カメラの気になる疑問を解決するブログをやってます
はじめに
「NOKTON 35mm F1.2の描写力は期待はずれ」
レンズレビューを見ていると、そんな記事をいくつか目にしました。
はじめに断言しております。
全くそんなことはありません。
確かに描写は甘いし、周辺の解像力も数字上は悪いです。
けれども、このレンズはそもそも高解像力なんて目指していません。
まるで、オールドレンズのような味わいを残すためにワザと収差を残している味のあるレンズなのです。
数字だけでは語れない、粋なレンズだよ!ってなレビューを詳しくしてまいります。
レンズの仕様
NOKTON 35mm F1.2 X-マウント レンズ仕様 | |
---|---|
発売日 | 2021/9/28 |
マウント | Xマウント |
フォーマット | APS-C |
レンズ構成 | 6群8枚 |
焦点距離 | 35mm(フルサイズ換算53mm相当) |
絞り値 | F1.2~F16 |
絞り羽根 | 12枚(円形絞り) |
金額(公式オンラインストア) | 85,800円(税込) |
最短撮影距離 | 30cm-∞ |
サイズ | φ59.6×39.8mm |
重量 | 196g |
フィルターサイズ | 46mm |
防塵防滴 | なし |
AF | マニュアルフォーカス |
コシナから発売されているVoigtlander NOKTON 35mm F1.2 Xマウント(以下NOKTON 35mm F1.2)はFUJIFILMのカメラのために作られた専用設計のマニュアルレンズです。
外装デザインや光学設計まで、全てがFUJIFILMの専用設計で作られたレンズです。
FUJIFILMの中でもクラシック系のカメラと相性が良い佇まいなので、コアなファンから愛されているのが特徴です。
この次の項目ではレンズの特徴を詳しく説明いたします。
レンズの特徴
NOKTON 35mm F1.2の特徴は以下の通り。
- 新品で買えるオールドレンズ
- あえて収差を残した描写
- 時代に逆光したレンズ
3つの特徴について深掘りしていきます。
新品で買えるオールドレンズ
NOKTON 35mm F1.2は新品で買える最新技術を駆使したオールドレンズです。
現在のレンズは、技術の進歩によってどのメーカーでも高品質なモノが増えました。
そんな中、あえてオールドレンズライクな作りのレンズを使っているのはコシナくらい。
あえて、古き良きデザインと写りを追求したレンズこそ、このレンズの最大の特徴です。
あえて収差を残した描写
NOKTON 35mm F1.2はレンズのデメリットである収差をあえて残しているので、オールドレンズのような雰囲気のある写真を味わえます。
収差は悪とされています。
なので、通常は収差を取り除くために、各メーカーは全力を注いでいるほど。
しかしこのレンズはオールドレンズライクな写りを表現するためにあえて収差を残しています。
なので、現代のレンズでありながら昔のようなノスタルジーを感じる絵作りが可能です。
時代に逆行したレンズ
NOKTON 35mm F1.2は時代に逆行した異端なレンズてす。
現代のレンズの特徴はこんな感じ。
- 圧倒的な高解像度
- 中央から周辺までがシャープ
- 収差のない描写
- 誰でも簡単に使えるオートフォーカス
技術の進化により、現代のレンズは昔にはできなかった最高品質のレンズになっております。
しかし、今回のNOKTON 35mm F1.2は上記の特徴とは真逆の性能です。
あえて時代に逆行するレンズの写りは、現代にはないエモい写真になります。
解像力の数字が全てではありません。
今回ご紹介のNOKTON 35mmは、写りに情緒を含ませた、全く他にはない革新的なレンズなのです。
外観
レンズの外観は最高にカッコいいです。
この一言に尽きます。
なぜなら、レンズは金属製だから。
大手レンズメーカーのレンズの多くは、より軽くするためにプラスチックの素材が使うのに対して、コシナのレンズのほとんどは金属製。
触るとひんやり冷たくて、素材の良さを感じます。
ちなみにレンズフードをつけるとこんな感じ。
レンズフードも金属製で、一体感があります。
フードもコンパクトで使い勝手は良きです。
また、レンズのフォントや全体の佇まいにも徹底的にこだわられています。
このレンズは見るだけでワクワクするような、まるで伝統工芸品のように感じるほど、カッコいい見た目をしております。
写りの個性も去ることながら、所有する喜びも与えてくれる、そんなレンズがNOKTON 35mm F1.2なのです。
FUJIFILMのカメラとの相性
今回ご紹介のNOKTON 35mm F1.2はFUJIFILM純正のレンズではないので、カメラとの相性が気になるところ。
使い勝手も含めてご紹介。
絞りリングの完成度が高すぎる
このレンズは絞りリングのクオリティが高すぎます。
さすがはマニュアルレンズをガッツリ作っているメーカーだけあって、リングを回した時のクリック感は最高に心地よいです。
とにかくコンパクトな携帯性
NOTON 35mm F1.2はとにかくコンパクトです。
全長は約4cmほどで、重さも200g以下。
非常にコンパクトなレンズなので持ち運びも楽ちん。
カバンの中でかさばることはないでしょう。
電子接点付きがアツい
マニュアルフォーカスのNOKTON 35mm F1.2のビックサプライズはなんといっても、電子接点付きということ。
電子接点があることで、カメラのスクリーン上で距離計が表示されたり、撮影時の設定F値がわかります。
なので、撮影する上での操作性と機能性が向上します。
マニュアルフォーカスが使いやすい設計
電子接点が付くことでマニュアルフォーカスが圧倒的に使いやすくなります。
FUJIFILMのカメラとの連携が良くなっているので、フォーカスリングを触るとピント面を拡大してくれます。
実際にディスプレイ上にはこのように表示されます。
F1.2という非常に浅い被写界深度でピタッとピントを合わせられる優れた機能です。
「マニュアルフォーカスはピント合わせが難しそう」
筆者もそう思っていましたが、この機能のおかげでピントが合っている確率は9割以上になりました。
マニュアルフォーカスが難しそう、、、という悪いイメージを払拭してくれる素晴らしい機能がついています。
レンズの描写性能
こちらでは、NOKTON 35mm F1.2の描写性性能について深掘りしていきます。
開放と絞った時の比較
まずはF値開放と絞った時の描写の比較です。
NOKTON 35mm F1.2はF値開放が甘いって聞くから心配だな〜
そんな心配はご無用。まずはこちらの比較をご覧下さい。
左:F1.2で撮影 / 右:F5.6で撮影
5倍拡大 / 左:F1.2で撮影 / 右:F5.6で撮影
ハイ、開放は激甘で、ふわっとした写りです笑
「おいおい、やっぱ開放の解像力が弱すぎるじゃないか!」
ってなお声が聞こえてきそうですが、これこそが NOKTON 35mm F1.2の描写のメリットなのです。
つまり、開放ではオールドレンズのようなゆるさを許容する写り、絞るとシャキッとした写りになります。
そして、この1本で2度美味しいのがNOKTON 35mm F1.2の面白いところです。
開放F1.2の描写性能
お次は開放F1.2の描写性能について深掘りしていきます。
開放時の特徴はざっとこんな感じ。
- ハイライトに滲みが出る
- 色収差がガッツリ出る
- 開放はピンと面でも甘い
- フレア&ゴーストがめちゃ出る
レンズ性能警察が見たら発狂する特徴です。
しかし、これはデメリットではありません。
まるでオールドレンズかのような、クラシックな写りを得るための特徴なのです。
現代的なレンズの売りである「開放からシャープ」みたいなレンズじゃないとダメな人にはオススメできません。
このレンズが持つ、古き良き味わいを楽しみたい人にはぜひ手に入れてほしいレンズです。
絞り込んだ時の描写性能
絞り込んだ時の性能はというと、、、
これまた普通くらいです笑
やはり収差を残すデメリットとして、解像力の低下は否めません。
しかし、だから悪いレンズではないのです。
その理由は次の項目で。
周辺の甘さはむしろ強み
NOKTON 35mm F1.2は絞っても普通くらいの解像力です。
むしろ、四隅に関しては絞っても描写は甘いです。
甘いのだけれど、これこそがこのレンズの本当の価値なのです。
昔の中判カメラは解像力が半端ないとよく話題になったそう。
その理由は、昔の中盤は周辺の解像力があまり良くなかったので、その分中央の解像力が通常よりも際立って見えたからだとか。
つまり、中央が高解像度で周辺が甘い方が、写りの差が大きいのでより高解像に見えるのです。
話は戻って、NOKTON 35mm F1.2の解像力チャートをご覧下さい。
コシナ「NOKTON 35mm F1.2 X-mount」は絞っても周辺部が甘く納得のいかないレンズ
このグラフを見ると、中央の解像力が一番高いF4が同時に周辺との差が一番開きます。
先ほどの中判カメラの説でいうと、このレンズの一番のスイートスポットはF4。
古き良き写りの良さを実感できるのがこのレンズの最大の魅力です。
NOKTON 35mm F1.2の作例
お次はNOKTON 35mm F1.2の作例をもとに描写ついて解説いたします。
植物を開放で撮影してみました。
拡大なしでも分かるふわっと感。
柔らかそうな植物が、さらに優しい印象で撮れました。
お次は開放撮影時の近接性能です。
このレンズは30cmまで寄れるメリットがあるのですが、開放で寄るとよりフワッフワになります。
また、背景のボケ味も柔らかくていい味が出ています。
玉ボケがわかりやすいよう、あえてピントを外した作例です。
玉ボケはざわついていて、フチの色づきとキリッとした輪郭があります。
この玉ボケ具合はまるでオールドレンズ。
独特な玉ボケがイマドキのエモいを加速させてくれます。
F1.2で人を入れたスナップ風に撮影。
マニュアルフォーカスだとピント合わせに時間がかかりそうなところですが、意外と素早くピントを合わせることができます。
写真のように動く被写体を開放で撮影しても、難なくピントを合わせれました。
AFに慣れていると不安になるマニュアルフォーカスですが、問題なくピント合わせができます。
次は快晴×開放での作例です。
この日はガッツリ晴れの日だったのですが、シャッタースピードのコントロールに苦労しました。
F1.2で撮影をしていると1/8,000秒でも露出オーバーになるシーンです。
この日は歪みのない電子シャッターで有名なX-H2Sを持っていたので、迷わず電子シャッターへ。
超高速電子シャッターでも被写体が歪む心配がないので、開放撮影が多い人はX-H2Sとともに使用することでより自由度の高い撮影ができます。
開放×逆光です。
描写は甘いですが、コントラストはしっかりと効いています。
このレンズはF1.2のF値で盛大にゴースト&フレアが出ます。
最近のレンズはゴーストなんてほとんど出ないように設計されていますが、このレンズは味わいを豊かにするためにあえてこのような懐かしいエラーがたくさんあります。
こちらは快晴×F4で撮影。
先ほどご紹介したスイートスポットであるF4での作例です。
ぶっちゃけF4まで絞るとほかの純正レンズとの大きな差は見受けられません。
むしろ、周辺が甘い分中央の解像力が向上しているようにさえ感じます。
お次は開放×F4で撮影。
光が少ないにも関わらず、眠くならない綺麗な写真に仕上がります。
開放で撮影すると絵が滲むのですが、この作例の空はまさにその特徴がよくわかります。
お次は曇り×F1.2。
開放で近寄ると、もはやピント面が分からないほどゆるい写りです。
最後に近接性能のお話です。
FUJIFILMのカメラのようにAPS-Cセンサーのレンズは通常よりも寄りやすいというメリットがあります。
そして、寄ると美しい古き良き写りになるのでやめられません。
最後にF4まで絞り込んだ時の近接性能です。
F4まで絞ると中央がキリッとシャープになりますので、立体感のある写真になります。
開放と比べると、F値を絞る方が圧倒的にシャープな写真になりました。
【まとめ】極上のクラシックレンズ
NOKTON 35mm F1.2は現代にはないノスタルジックな写りを楽しみたい方にとってベストチョイスとなるレンズです。
その理由はこちら。
- 最新レンズにはない情緒的な写りを楽しめる
- 圧倒的に軽いレンズ
- 電子接点があるおかげでマニュアルレンズを簡単に楽しめる
筆者も購入検討時にはいろんな悪いレビューがたくさん合ったので少々不安でしたが、ファーストショットの瞬間からその疑念が取り払われるほど最高の性能でした。
数値上の優位さが必ずしもいいわけではない。
むしろ、あえてクラシックな描写を求めたレンズなので、今となっては唯一無二の味わいのあるレンズかと私は思います。
これはFUJIFILMの純正には出せない、コシナブランドの哲学があるからこそ実現しているレンズです。
ぶっちゃけお値段はそんなに高くないし、リセールバリューも高いので損切りもしやすい。
現代にはない古き良き写りを楽しみたい方は購入必須のNOKTON 35mm F1.2のご紹介でした〜
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