PRO Neg.Stdの色味の特徴を徹底解説【撮って出しの作例写真あり】

  • PRO Neg.Stdってどんな特徴があるの?
  • どんなシーンにふさわしいフィルムシミュレーション?
  • そもそもフィルムシミュレーションとは?

こんな疑問をお持ちのあなたへ。

富士フイルムのフィルムシミュレーションであるPRO Neg.Stdについて詳しく解説いたします。

この記事を読むことで、PRO Neg.Stdの色の考え方や特徴、実際の色味やおすすめシーンまでを詳しく知ることのできる内容となっております。

記事の後半にはPRO Neg.Stdで撮影した撮って出しの作例写真を多数ご用意しておりますので、ぜひ最後までご覧下さい。

このブログを書いている人

そーいち

目次

はじめに

本記事の内容は、富士フイルムの色味について徹底解説してる本「FUJIFILM 画質完全読本」と公式の開発者インタビューなどを徹底的にリサーチした上で記事にまとめています。

個人的な意見を述べている項目を除き、公式の見解に沿った情報となっております。

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フィルムシミュレーションについて

X-H2 + XF16mmF1.4 R WR

フイルムシミュレーションがすごいのは分かるけど、どういうものかって調べても中々分からないですよね。

私も昔はそうでした。結局どう使い分ければいいか分かりづらい、、、

そんな経験があるので、富士フイルムの色味の特徴とフィルムシミュレーションのことを分かりやすく紹介した記事を作りました。

こちらも合わせてご覧ください。

PRO Neg. Stdとは?

X-H2 + XF16mmF1.4 R WR

こちらではPRO Neg.Stdについて詳しくご紹介。

フィルムシミュレーションの図

各フィルムシミュレーションの特長は?

富士フイルムの公式サイトにあるフィルムシミュレーションの相関図です。

  • Tonality(トーナリティ)=色調
    • 色調とは、明暗、濃淡のこと。コントラスト。
  • Saturation(サチュレーション)=彩度
    • 彩度とは色の淡さ、濃さのこと。

公式の図は英語なのでちょいとややこしいですが、縦軸がコントラスト、横軸が彩度のことです。

PRO Neg. Stdの特徴は以下の通り。

  • スタンダードよりコントラストが低い
    • 柔らかい印象の絵作り
  • スタンダードより彩度が低い
    • 優しい発色

全体的に柔らかく、優しい雰囲気の写真になることが特徴です。

スタンダードとの比較

参考までに比較画像を置いておきます。

赤、橙、黄、緑、青色で比較してみました。


スタンダード(プロビア)と比較すると、彩度とコントラストが低めなので、柔らかい印象の写真に仕上がります。

こうやって比較すると、スタンダードの方が彩度が高いので写真映えしますね。

対してPRO Neg.Stdはプロ用フィルムの色再現をテーマにしているので、色自体は見たまんまに近いです。

あっさりとした印象になるので、ポートレートに最適な色味です。

PRO Neg.Stdの哲学

X-H2 + XF10-24mmF4 R OIS WR

PRO Neg.Stdはプロ用フィルムの表現を再現したフィルムシミュレーションなので、忠実な色再現となっています。

また、昔のフィルムっぽい、柔らかい表現が得意なフィルムシミュレーションです。

公式の説明はこんな感じ。

プロ用ネガフィルム「PRO160NS」がベース。
諧調と肌色の柔らかさが特徴で、作りこまれたライティングでのポートレート撮影に適しています。
また、ニュートラルな諧調により、撮影後に画像加工を行う際にも最適なフィルムシミュレーションです。

各フィルムシミュレーションの特徴とは?

特に肌色の発色にこだわられているフィルムシミュレーション。

なので、ポートレート撮影や子どもをプロっぽい写真に仕上げることができる色再現です。

PRO Neg. Stdの写りの特徴

X-H2 + XF33mmF1.4 R LM WR

こちらではPRO Neg.Stdの写りの特徴をご紹介。

プロ用フィルムの色再現

X-H2 + XF33mmF1.4 R LM WR

プロの現場で使用されるフィルムの再現なので、色再現が忠実に行われています。

PRO Neg.Stdは富士フイルムプロ用のフィルム『PRO160NS』がベースとなっています。

プロ用のフィルムは正しい色が出ることが命。

正しい色が出るフィルムは高級フィルムなので、一流フィルムの色再現が楽しめます。

ポートレートに特化した階調

『PRO160NS』はスタジオポートレートをメインに使用するために作られたフィルムです。

そのため、肌色の発色と階調の繋がりが非常に綺麗なのが特徴。

また、強い光が当たっても肌が赤らむことのない自然な肌色になります。

次にポートレートの作例をご覧下さい。

そーいち

(背景はぼかしを入れています。加工してようやく許可が出たので、悪しからずご了承ください)

スタンダード(プロビア)と比べて落ち着いた優しい肌の発色になります。

プロビアは肌に赤みが入る感じがしますね。

次に似たフィルムシミュレーションの『PRO Neg.Hi』との比較です。

発色傾向は同じですが、Hiのほうが硬く陰影が出ます。

逆にStdは柔らかい表現が特徴です。

ポートレートの使い分けはこんな感じ。

  • PRO Neg.Std
    • 影の固い晴れた日に肌質を柔らかくしたい時
  • PRO Neg.Hi
    • 曇りや雨のモヤっとした日にキリッとした陰影を付けたい時

ポートレートで使用する場合はお好みで使い分けて下さい。

スナップでも使えるフィルムシミュレーション

X-H2 + XF10-24mmF4 R OIS WR

色再現度の高さと軟調さが特徴のPRO Neg.Stdは、スナップでも大活躍のフィルムシミュレーションです。

スナップは通常、硬調な写真が多いのですが、あえて柔らかい雰囲気で撮ることでプロっぽい写真に仕上がります。

おすすめのカスタム設定

こちらではPRO Neg.Stdのオススメ画質設定についてご紹介。

シャープネス、明瞭度を下げてもっと柔らかく

X-H2 + XF33mmF1.4 R LM WR

画質設定のシャープネスと明瞭度を最大まで下げることで、よりふんわりと柔らかい雰囲気になります。

設定はこんな感じ。

シャープネス&明瞭度の設定

  • シャープネス : -4
  • 明瞭度 : -5

それぞれ、写りをふんわりと柔らかくしてくれる設定です。

こうすることで、昔のレンズで撮影したかのようなノスタルジックな雰囲気になります。

ノイズを増やしてフィルムっぽく

X-H2 + XF16mmF1.4 R WR

上記の設定に加えて、ノイズを増やすとよりフィルムっぽいエモい絵作りになります。

設定はこんな感じ。

グレインエフェクトの設定

  • 粒度 : 大
  • 強さ : 強

これくらいガッツリノイズを入れるとフィルム感のあるエモい写りになります。

先ほどのシャープネス&明瞭度を下げる設定を併用すると、人気の高級フィルムであるコダック「PORTRA(ポートラ)」の雰囲気っぽく撮れます。

ぜひお試しあれ。

PRO Neg. Stdの撮って出し作例

こちらではPRO Neg.Stdを使用した撮って出しの作例写真のご紹介をいたします。(水平垂直のみ調節しております。あらかじめご了承下さい)

X-H2 + XF16mmF1.4 R WR
X-H2 + XF16mmF1.4 R WR

PRO Neg.Stdは太陽が強い日に使うと、写真のようにコントラストを弱くして柔らかい印象にしてくれます。

直射日光の元で使用すると、昔の高級フィルムのような描写になります。

X-H2 + XF16mmF1.4 R WR
X-H2 + XF16mmF1.4 R WR

スナップ写真が2枚続きました。

このような、陰影を強調したくなるシーンは不向きだなと感じます。

特に2枚目はもう少しハイライトを明るくして走っている人にフォーカスしたくなる絵作りになります。(欲を言うともう少しシャドウも引き締めたい)

X-H2 + XF16mmF1.4 R WR

同じコントラストのあるシーンでも、これくらい柔らかい雰囲気になるのなら良いかと。

太陽光ガンガンの時に特に力を発揮してくれます。

X-H2 + XF16mmF1.4 R WR
X-H2 + XF16mmF1.4 R WR
X-H2 + XF10-24mmF4 R OIS WR

スナップ写真だとこれくらいコントラストがはっきりしている方が面白いですね。

X-H2 + XF10-24mmF4 R OIS WR
X-H2 + XF10-24mmF4 R OIS WR

青色の発色は素直ですっきりとした印象になります。

X-H2 + XF10-24mmF4 R OIS WR

この日は曇ったり晴れたりの1日でした。

晴れの時は固いコントラストを柔らかくしてくれているので、優しい絵図作りです。

X-H2 + XF10-24mmF4 R OIS WR

曇りの環境下だと、どこかぬるい雰囲気に見えます。

このようなシーンだったらPRO Neg.Hiの方が、コントラストがついていい絵になるかと。

X-H2 + XF10-24mmF4 R OIS WR
X-H2 + XF10-24mmF4 R OIS WR
X-H2 + XF10-24mmF4 R OIS WR
X-H2 + XF10-24mmF4 R OIS WR
X-H2 + XF10-24mmF4 R OIS WR

やはり直射日光の方がスッキリとした写真に仕上がります。

この柔らかい感じがたまらんですね。

X-H2 + XF10-24mmF4 R OIS WR
X-H2 + XF10-24mmF4 R OIS WR

この落ち葉の発色は最高ですね。

彩度もコントラストも低いので、秋や冬の冷たい哀愁を感じさせる写真と相性がいいです。

X-H2 + XF10-24mmF4 R OIS WR
X-H2 + XF10-24mmF4 R OIS WR
X-H2 + XF10-24mmF4 R OIS WR

風景写真は賛否が分かれる部分だと思います。

風景は高コントラスト、高めの彩度が人気なので好みが分かれますね〜

X-H2 + XF10-24mmF4 R OIS WR
X-H2 + XF33mmF1.4 R LM WR
X-H2 + XF33mmF1.4 R LM WR
X-H2 + XF16mmF1.4 R WR

ここからの3枚はおすすめのカスタム設定である、シャープネス&明瞭度を下げて、ノイズを足して撮影しています。

X-H2 + XF16mmF1.4 R WR

モヤっとした雰囲気になるので、高級フィルム感が増します。

X-H2 + XF16mmF1.4 R WR

PRO Neg.シリーズは写真のようにシャープネス&明瞭度を下げることで情緒的な表現も可能です。

PRO Neg. Stdまとめ

X-H2 + XF10-24mmF4 R OIS WR

プロ用フィルムの色合いと雰囲気を再現したPRO Neg.Stdのまとめは以下の通り。

  • 人物撮影に適した肌色の色再現
  • 柔らかい写りと階調表現
  • ニュートラルで自然な色味

人物撮影に適した色設計になっているので、ポートレートや子ども、身近な人との写真におすすめです。

発色に大きな癖はなく、階調が豊かなので高級フィルムで撮影したかのような美しい写真に仕上がります。

人物を綺麗にエモく撮るのにおすすめなPRO Neg.Stdのご紹介でした〜

富士フイルムユーザー必見の本

この記事を書くにあたり、もっとも参考にしているのが「FUJIFILM 画質完全読本」です。

富士フイルムの画質に関する哲学や、各フィルムシミュレーションのことがよく分かる内容になっているので、富士フイルムファンには是非とも読んでいただきたい一冊です。

どういうわけか、ネットで富士フイルムの画質について記載された詳しい記事が見つかりません。筆者も公式ページを含めていろんなサイトをリサーチしましたが、もっとも濃い情報が載っていたのはこの本。

富士フイルムファンの人や富士フイルムのカメラが気になるって人はぜひ手に取ってみてください。

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本の方にも富士フイルムの公式チャンネル「FUJIFILM X channel」も参考にしております。

ネット記事や本には載っていない開発者の生の声が聞けるチャンネルなのでぜひ時間のある時に見てみてください。(かなりマニアックな話が多いですが笑)

公式YouTubeチャンネルはコチラ

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